まだ誰も書いていないすずめの戸締まりの考察
ネタバレを含みます。
が、観てない人には何書いてあるかわからないレベルなので読んでから劇場に行けば、あ〜この記事はそういうこと言いたかったのか、と納得できると思います。
もちろん、映画観てから読んで頂くことを推奨します。
他の人のレビューを見てもこういっま考察がなかったので書いてみました。
ポイントはわたしにとってず〜〜〜と違和感のあった富士山についてです。
よろしくお願い致します。
違和感のなかった富士山
さて、旅の道中。すずめとそうたは新幹線に乗ります。
そこでわざわざ富士山をみたかった!と悔しがったすずめ。
新幹線に乗るだけで嬉しそうにしていたことを思い起こすと、遠くへまだ出掛けたことが無いのかな、と想像できます。地図アプリで現在位置が早く移動するのを見てはしゃいだりするのもそうですよね。
しかしこういったことが実はカモフラージュだったのでは?と思えるような違和感があったのです。
そう、この映画で富士山が出てくるのはここだけではありません。
もちろん気づきましたよね。
続きをみていきましょう。
違和感のあった富士山
二ノ宮ルミ(クラブのママだったひと!)のちびっこ二人をすずめが子守していたときのこと。
最後、すずめは疲れ切ってしまい結局子供たちはそうたと遊びます。問題シーンはその前です。
すずめが相手をしている途中で「お姉さん、富士山役ね!」と二人がすずめをよじ登りました。
みなさんスルーできました?
わたしは出来ませんでした。
これは明らかに違和感がありました。
だって「やま」とか「おやま」、「おやまさん」ではなくわざわざ、富士山、と言ったんですよ?
あんな小さい子供がわざわざ富士山なんて表現するのは不自然です。他にいくらでも子供が使いそうな言葉はあるはずだからです。
これも富士山?
そして3回目の登場。(先に謝っておきますがこれは根拠が弱いです…)
閉ジ師秘伝ノ抄です。
でかい山からミミズが出てくる絵が書かれていました。
富士山と書かれていませんが、あれは富士山でしょう。もしこれから見る方がいらっしゃればぜひその目でご確認を。(そしてわたしに教えてください)
じゃなきゃあんなに富士山を登場させません。
もしあれが富士山だとすれば辻褄が合うのです。
新海誠が伝えたかったこと
さて3回目の方は推測だと言いましたが…
作中の絵のもとになったのは浅間山の大噴火の絵だと思います。見たことある方はピンときたはず。
長野県佐久市では浅間山がきれいに見えます。何を隠そう新海誠は佐久市出身なんですね。
ほんとは浅間山を登場させたかったの渋々我慢して、作中では富士山として登場させたのではないかな、と思います。
だって、浅間山なんて聞いたことないでしょ?みんな。
つまり新海誠としては、3.11や関東大地震、熊本地震だけでなく宝永の大噴火や天明の飢饉についても思いを馳せてほしかったんだとわたしは考えています。
そうだとすると、わざわざ富士山を登場させて、こどもたちに富士山!と言わせたことも、しっくりきます。
つまり…
数百年前はたくさんの人を死へ追い込んだ自然が、今では「美しい」とか「なんだか楽しい」とか「観光地」みたいなものという認識になっています。
そして、それに気付いていない人間のスケールの小ささ。こういったことを表現したかったのではないでしょうか。
数十年経てば、災害を経験した人でさえ、忘れてしまう。
いわんや、数百年をや、ということです。
余談(天明の飢饉について)
わたしの家系の墓の近くに石がたくさん転がっている場所があります。
おじいちゃんにこれはなに?と聞くとおじいちゃんは
「それは貧しくて墓をたてられなかった時代のお墓なんだよ。だから踏んだりしてはいけないよ。」と教わりました。
また、これもおじいちゃんに教わったことですが、天明の大飢饉の時の位牌はとても簡素だったそうです。
これがそうだよとペラペラのかつお節みたいな薄さの紙切れに文字が書いてあったのを覚えています。
そういう時代もあったんだよ、とこの映画は語ってくれているように感じました。
芹沢が被災された街並みに草花が生えている様子を「キレイ」と言い、それをすずめが「こんなのキレイじゃない」と怒ったように。
すずめが富士山をみたい!といったのを江戸時代の人たちが聞いたらどう思うでしょうか。
あぶねぇから近づくな!とか言いそうですよね。
そんな人間にはどうしようもない記憶や歴史の儚さがメッセージとして隠されていると感じました。
よければ、みなさんの感想もおきかせください!
まとめ
この映画では各地で助けてくれた人のあたたかさや災害の怖さを描くだけではなく、災害の記憶が褪せていく現実を大きなスケールで描いていると感じました。おそらくこちらがメインディッシュだと思います。
わたしが今回書いたのはいわばサイドメニューの方です。
まだ見てない方はうるっときますのでぜひ劇場で味わってみてください。
ではまた、お会いしましょう。イズムでした。
この記事はわたしがnoteにて投稿している記事をブログ用にリメイクしたものになります。
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